深い谷と急峻な尾根、独特の植生を持つ石灰岩の山にシロヤシオが咲き誇る。
穂高のザイテングラートよりきつい登山道は、「四国一厳しい」などと評されて遭難事故も何度か起きている。
花の季節を迎えた石立山を1年ぶりに歩いてみた。
<石立山山頂>
■行先・位置
石立山 (二等三角点 [石立山] 1,707.7m)
高知県香美市・徳島県那賀町、北緯33度47分5秒・統計134度3分18秒
■コースタイム
別府峡登山口 8:56(24分)→ 竜頭谷 9:20(17分)→ ガメラ石 9:37(15分)→ 岩場 9:52/9:54(50分)→ 西峰 10:44(8分)→ 石立山 10:52/11:00(7分)→ 西峰 11:07(33分)→ 岩場 11:40(8分)→ ガメラ石 11:48(13分)→ 竜頭谷 12:01(16分)→ 別府峡登山口 12:17
(行き 1時間54分 帰り 1時間17分 計 3時間11分)
■コース水平距離 7.4km(登山口からの往復)
■天気 晴れ時々曇り
■楽しさ ★★★★★(満点!)
水平距離3.7kmで沿面距離4.0kmと距離が短い割に累積標高差が1300m弱と急峻で、「四国一厳しい」などと評される山だが、登山口が国道から近いのと距離が短いので短時間で登ってくることも可能。
【水平距離7.41㎞、沿面距離8.08km、累積標高差(+)1289m (-)1286m】
(登山口の吊橋から山頂まで、寄り道なしの往復)
別府峡「もみじ茶屋」下の駐車場へ向かう(誰かいるかな・・・)。
徳島の車が1台駐車していた!
ルートは、手前の小ピークを左から巻いて、中央の尾根を登る。
小ピークと尾根との間が竜頭谷で、右側を下る北谷に合流している。
駐車場の奥に見える吊橋が登山口。
吊橋を渡ると遊歩道の階段でいきなりの急登が始まる。
このユキモチソウは仏炎苞の赤が目立つ。
北谷ルートと百間滝への横道を右に見送り、人工林の尾根を登る。
ノコギリ葉のユキモチソウは少数派。
キランソウの仲間だろうというのは見当がついても、大型で花の色も淡い。
分からないので〔牧野植物園〕の方に確認してもらったら「オウギカズラ」という植物だった。
オウギカズラ(扇蔓)は、シソ科キランソウ属の多年草で本州・四国・九州の沢沿いなどの湿り気のある樹林下に生える、ということだ。ガッテン!
オククルマムグラ(奥車葎)は、アカネ科ヤエムグラ属の多年草で北海道・本州・四国・九州の低地~亜高山帯の林内などに生える。
とげ状の毛がある四角い茎に葉が6枚輪生し、先端は短く尖る。
登山口から24分で竜頭谷を渡ったら、ざれた斜面を斜めに登る。
ざれた斜面を通過したらいよいよ本格的な岩尾根の急登!
石立山名物「ガメラ石」まで41分。
まだ蕾のヒメキリンソウ(姫黄輪草・ベンケイソウ科)は四国(愛媛、徳島、高知)の固有種で、環境省レッドデータブック絶滅危惧II類(VU)。
牧野富太郎の命名で、牧野植物園が2011年に初めて開花に成功している。
サルオガセ(猿尾枷)は、岩場付近でよく見かける地衣類で空気中の水分と二酸化炭素を直接吸収し光合成をおこない「霞を食って」生きている。
展望の良い「岩場」(標高1,220m)に出て一休み。
ここは、行程のほぼ中間点で北に白髪山や三嶺を望むことができる。
ビャクシンの尾根は左側を通過。
アオダモ(コバノトネリコ)は、モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹で北海道から九州までの山地に広く分布している。
オオカメノキ(大亀の木)は、スイカズラ科ガマズミ属の落葉小高木で花序の中心に小さな両性花、その周りに目立つ大きな装飾花がつく。
ツクバネウツギ(衝羽根空木)は、スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木で本州・四国・九州に分布。名前はプロペラのような5枚の萼片のついた果実が羽根突きの「衝羽根」に似ることに由来する。
シコクハタザオ(四国旗竿)は、アブラナ科ヤマハタザオ属の多年草で本州(関東以西)・四国・九州の山地・低山に分布し葉は茎を抱く。
標高点 [・1472] 付近からは尾根の両側に紅白のツツジが目立ち始める。
ゴヨウツツジ(シロヤシオ)は古木が多いので見上げる形になることが多い。
トサノミツバツツジ(土佐の三葉躑躅)本州(岐阜県・滋賀県・紀伊半島)・四国(徳島県・高知県)に分布、やせた尾根や岩場に多い。雄しべは10本。
シロヤシオ(白八汐)は、ツツジ科ツツジ属の落葉低木で太平洋側の山地に分布し、葉が5枚輪生することからゴヨウツツジ(五葉躑躅)とも呼ばれる。
シロバナネコノメ(白花猫の目)とイワボタン(岩牡丹)のネコノメ2種。
イシダテクサタチバナ(石立草橘)は、若葉が成長中で開花は概ね1ヶ月後。
アケボノツツジの花もまだ残っていた。
1時間48分で西峰に到着。
右に折れて奥に見える山頂へ向かう。
西峰から山頂にかけてもゴヨウツツジの古木が多いが、まだ蕾がほとんどで
トサノミツバツツジが五分咲き程度。
間もなく白とピンクの競演が見られるようになる。
山頂到着は登山口から1時間54分(休憩・写真撮影含む)後の10時52分。
登山口からの写真撮影枚数は、すでに120枚を越えている。
登山口から1時間54分(休憩・写真撮影含む)で山頂に着いた。
後方の基準点は、二等三角点 [石立山] で、場所情報コード(ucode)・緯度・経度・標高が記録された ICタグ付きのインテリジェント基準点となっている。
本峰との鞍部付近から見る西峰の右奥には三嶺。
ツルキンバイ(蔓金梅)は、バラ科キジムシロ属の多年草で本州(関東以西)・四国・九州に分布、山地の落葉樹林下に生える。細長い匐枝を地上に伸ばし、葉は3小葉でとがった鋸歯がある。
ワチガイソウ(輪違草)は、ナデシコ科ワチガイソウ属の多年草で本州(関東以西)・四国・九州の山地の林縁などに生える。白い5枚の花片に雄しべの葯が柴色の花を咲かせる。
キバナノコマノツメ(黄花駒爪)はスミレ科スミレ属の多年草で北海道・本州(中部以北)と四国・九州(屋久島)の亜高山から高山帯の湿気の多い草地や礫地に分布、基準標本はヨーロッパの高山となっている。
唇弁が長く他の黄スミレと違って葉がまるいこと、上弁と側弁が上を向いていることなどが特徴。
ユキワリソウ(雪割草)は、サクラソウ科サクラソウ属の多年草で、本州(中部以北)と四国の亜高山帯から高山帯の湿った岩場や草地に自生する。
雪解けとともに花をつけるので「雪割草」と呼ばれる。
右は白花、サクラソウの仲間で白花は希少種。
※キンポウゲ科のミスミソウは別名が「雪割草」だが「ユキワリソウ」ではない。
ヤチマタイカリソ(八街碇草)はメギ科イカリソウ属の多年草でイカリソウの母変種とされており、四国および九州の山間部に稀に分布する。
環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)にランクされ、都道府県別分布状況では徳島・高知・熊本・宮崎となっている。
葉や茎を乾燥させたものが生薬の「淫羊かく」で強精・強壮薬として用いる。
雄の羊がこれを食べると一日百回○○するという・・・。すごいね・・・。
帰りは登山道を見失わない、テープを確認しながら下山しよう。
山頂から 1時間17分、往復 3時間11分(3時間21分休憩含む)で下山。
下山後は、すぐ近くの〔べふ峡温泉〕で汗を流していこう。
高知県香美市物部町別府452-8
TEL:0887-58-4181 FAX:0887-58-4183
E-Mail:befukyouonsen@mopera.net
大人600円(香美市民300円)でさっぱり!
香美市からだと「登山口へのアクセスが良い、歩行距離が短い、温泉が近い」と3拍子そろった石立山が Good!
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